DATE 2009. 1.13 NO .



「なぁなぁ、スコールって歳いくつなんだ?」

 皆黙ってしまった休憩時間。
 その空気に耐えかねて、おれはそう話を切り出してみた。
 スコールが視線をおれの方に向ける。
 言ってみてから思う。
 そういや、ほんとにいくつなんだろう。考え出したら、気になってきたじゃないか。

「…………」

 そのまま、何故か数秒。

「……17」

(微妙な間が……)

 相変わらず「普段」はぶっきらぼうだ。
 けれど返事が返って来た。
 ……年下だ。

「17か! おれの方が年上だな!」

「……それに一体何の意味がある」

「いーや、何でもないさ」

 スコールが年下か。……これ、もしかしておれは結構年長者だったりするのか? こんな状況だ、おれが皆をひっぱってやらないとな!
 ――いやいや、落ち着けおれ。あいつが年下なわけないじゃないか。あれで10代とか言われたら逆にどうすりゃいいのかわかんないって――

 おれ達から少し離れた場所にいるあいつを、ちらりと見やる。

(ないないない、さすがにあいつだけは絶対年上だ! ……あ、フリオニールとセシルも年上っぽいよな。あとは皆10代かな――)

「オレは16だから、スコールより年下だな。……セシルはいくつなんだ?」

 ジタンの声で我に返った。
 話を振られたセシルは、何か考え事でもしていたのか一瞬目を瞠り、それから、

「僕かい? 僕は20歳だよ」

 おれ限定の爆弾発言をした。

「は……?」

(お、同い年だとぉぉぉ!?)

「へぇ、20歳かぁ」

 ジタンがおれの方を見ながらにやにやしている。
 ジタンは――おれの歳を知っている。

「……どうしたんだ、ジタン。楽しそうじゃないか」

 ちょっと待てスコール君、何で今日はそんなノリいいんだ!?

「いや、同じ歳でも人によって全然違うんだなーと思ってさ」

「そうだな。同じ歳でも精神年齢が低かったり、落ち着きがなかったりな」

「そうそう」

 ひどいぞジタン! ……ってか、スコールは誰を想定してるんだ!!

「……バッツ? どうしたんだよ、変な顔しちゃってさ」

「さっきまで年齢の話でひとり盛り上がっていたというのにな」

 こ、こいつら……

「あぁ、クラウドはいくつ?」

 ジタンがふいと目をそらし、クラウドに声を掛けた。
 クラウドもスコールと同じようにゆっくりと顔をあげ、

「……21だ」

 無表情なまま、そう言った。

「に、21ぃぃ!?」






「ほんっとに面白いなバッツは!」

「はいはい、どうせおれは面白いですよ……」

 あいつの一声で休憩が終わりまた歩き出してすぐ、ジタンが傍に寄って来た。

「そんな無茶しなくても、オレ達は大丈夫さ」

「え……?」

 ジタンの表情が、変わる。

「大丈夫、オレ達はまだ――笑える」

 どん底を絵に描いたような空は、相変わらずで。
 かざすと、おれの手はその色に簡単に溶けてしまいそうにも思える。
 現に時々誰かの体が揺らいで、あの空の色がにじむのだから。

「そんな事……言われなくてもわかってるさ!」

 でもまだこの空の下、歩き続けている。
 おれ達は皆、同じく希望を失っていない。
 信じてなきゃ、やってられるもんか。

 たとえ消えなければならない運命だとしても、
 その時は光の下、
 皆、笑顔で――と。







≪あとがき≫
 どうでもいい補足。
  1:スコールの心の声が入ったようです。
  2:バッツはわずか数cmの身長差で年齢を判断したようです。
  3:フリオニールは、小説版をあてにするなら不正解のようです。

 10000hitリクエスト企画その1。みえさんどうもありがとうございましたー。
 コンビ的ジタバツとやらを目指して挫折した結果がこれ……だ……!





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